複雑相互作用を考慮した多ホスト-多パラサイト系の共進化動態による生物多様性・ 遺伝的多様性維持機構の解明

伊東 啓
(長崎大学 熱帯医学研究所 講師)

2017年7月6日木曜日

信長の野望とシミュレーション

前回の「ネトゲで流行った感染症」が結構読まれていました。みんなゲームの話が好きなんですね。私も好きです。


先日とうとう「信長の野望 創造 withパワーアップキット(通称:創造PK)」と、「信長の野望 創造 戦国立志伝」を買ってしまいました。(以下、野望と呼称します)
いや、ほんと、歴代野望の中でも最高傑作ですね(創造は微妙です。PKか戦国立志伝をおすすめします)。

信長の野望 創造:http://www.gamecity.ne.jp/souzou/
信長の野望 創造 戦国立志伝:http://www.gamecity.ne.jp/souzou/sr/index.html

このゲーム、信長の野望シリーズの最高傑作だと思われます(特に立志伝)。
信長の野望は戦国武将になって、天下統一を目指すゲームなのですが、やはり魅力はその豊富な武将データでしょう。
なんと2106人もの武将が登録されており、その一人ひとりに顔と能力値が設定されています。

例えば私の地元「静岡市」といえば街道一の弓取り、今川義元でしょう(静岡の武将で徳川家康とか言っている人はすぐ戻るボタンで去ってください)。
今川義元は桶狭間で織田信長に討ち取られるため、野望のキャラとしては不遇の時代を送っていました。しかし、時代が進むにつれて再評価が進みました。これも静岡大学名誉教授の大和田先生の功績でしょう。

そしてそれはゲームの顔グラ(顔グラフィックの略)に現れています。
右下(天翔記)が最も古く、左上(天道)に向かって新しい作品です。
麻呂眉の冴えないデブから一気にイケメンに。ちなみに、私は大河ドラマ「風林火山」で谷原章介が義元を演じたときから美化が始まっている気がします。

「今川義元 信長の野望」の画像検索結果
https://www.nobuwiki.org/nobu_cg/nobucg_01

さらに最新作(創造)ではこの通り、

「今川義元 信長の野望」の画像検索結果

もはや当初の面影はありませんが、なんか強そうです(実際超強い)。

さて、能力値の話に戻りますが、下は昨年の大河ドラマ「真田丸」でまた話題になった「真田昌幸」です。役者さんで言うと草刈さんです。

「信長の野望 創造 能力」の画像検索結果

このように、統率や武勇といった能力値は1~100(育成によってはそれ以上)で与えられており、合戦や内政で効果を発揮します。これらは実際の歴史上のエピソードや功績にちなんで与えられている数値です。真田家はエピソードには事欠かないので、全作通じて強いです。最近ますます強くなってるような…

こんな数値をいちいち振り分けた武将が有名も無名も含めて2000人もいる訳です。KOEIすごい。

こういった武将達がせめぎ合いながら天下を目指すゲーム、信長の野望。これはまさにエージェントモデルと言えるでしょう。個体「エージェント」にはそれぞれ特性(ゲームでいうところの能力値)が与えられ、個体差を持った個体同士が複雑に相互作用することでシステム全体でどのような挙動をするのか観察できるのがエージェントモデルです。むずい?

エージェントモデルは、細かく言うと、
・agent model
・agent-based model
・individual-based model
とか呼び方が色々ありますが、全部たぶん一緒です。生態学ではIndividual-based model (IBM)の名称が良く使われます。
IBMの良さは、従来の数理的モデルと違い、「個体差」が導入できる点です。「個体差」は数学モデルでは扱うのが難しいので、複雑なシミュレーションを構築する必要があります。

個体差があると、何が良いのかというと、例えば
「偶然個体Aに突然変異が起きて、たまたまその遺伝子が環境に適応してたので、たまたまAはBと交尾に成功し、たまたまAの変異遺伝子がメンデル遺伝で子Cに引き継がれて、最終的にその遺伝子が集団内に浸透する」
といった感じで「偶然」とか「たまたま」が再現できます。そうすれば進化の様子が再現できるわけですね。
分からん人は私の素数ゼミの論文でも読んでください。
コレ:https://www.nature.com/articles/srep14094

信長の野望でも同じです。たまたま信長が若いうちに討ち死にしたら、天下統一するのは秀吉じゃないんじゃないでしょうか?
信長の野望は、普通にやると「大友家」「島津家」「武田家」「上杉(長尾)家」あたりがフツーに強いんですが、じゃあ毎回コイツ等が勝つかと言うとそうでもないところが面白いわけです。なぜなら、たまたま優秀な武将が討ち死にしたり、病で死んだり、内通で引き抜かれたりすることで様相が変わるからです。

実際に個体差は世界を構築している大きな要因です。個体差が有るから、環境の変化に適応できる訳です。これまでは複雑な計算はパソコンに負荷がかかるのであまりされてきませんでしたが、もうすでにどんどんそういったことが可能になっています。

私の経験上、大学教員を含め、優秀なモデラーは皆KOEIのゲームをやり込んだことがある人々です(維新の嵐とか)。先日、「子供がゲームばかりして困る」というお母さんと話しましたが、「しっかりゲームしない奴は良いモデラーになれませんよ」と言っておきました。

恐らく、ゲームをしている子は1ステップ、1ターンという「時間単位」の感覚や、命中率とかで「乱数」の感覚が養われているからだと思っています。


まだまだ野望について語りたいことがありますが、最後に私の野望の楽しみ方をお教えしましょう。

1.まず今川義元で天下を目指します。軍師、太原雪斎 が寿命で死んでしまう前に織田家の優秀な武将を取り込み、信長を屠らねばなりません(当時小学生の俺に父が教えてくれました)。難易度は比較的低いです。

2.義元が桶狭間で討ち死にしたあと、息子の氏真で天下を目指します。四面楚歌で普通にムズいです。しかし、親の敵である信長と裏切り者の家康は首を刎ねなくてはなりません。

3.剣豪将軍、足利義輝で天下を目指す。最初から既に将軍なんですが、幕府の権威は地に落ちています。足利将軍家の栄光を取り戻すために天下を目指します。これは弟がやっていた将軍家再興プレイで、当時「なんてかっこいいことするんだ」と感銘を受け、私もやるようになりました。


みなさんも、シミュレーションモデルを作る前にしっかりと信長の野望で下地を作ってください。

1 件のコメント:

  1. 静岡大名誉教授 大和田先生は、「小和田哲男」が正しいです。

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