複雑相互作用を考慮した多ホスト-多パラサイト系の共進化動態による生物多様性・ 遺伝的多様性維持機構の解明

伊東 啓
(長崎大学 熱帯医学研究所 講師)

2016年12月8日木曜日

秘境ムスタン地方での疫学予備調査(ネパール):中編

前回のあらすじ:
ネパール高地の疫学調査の予備調査に駆り出された伊東は、車で丸二日かけてムスタン地方の玄関口「ジョムソン」にたどり着く。目的地の村「ロマンタン」まで過酷な旅路が続く…




ジョムソンの宿の様子。この辺りは8000m級峰であるダウラギリやアンナプルナといった山々の周辺をトレッキングするときの基地となることも多いため、多くの宿があります。基本的にここより高地ではお湯のシャワーは浴びれません。


宿です。二階から一階が吹き抜けになっています。めちゃくちゃ寒い(ジョムソンは海抜約2700mです)。ちなみに布団の中で寝袋に入らないと寒くて寝れません。




ダウラギリ山系ですかね。



小さな空港もあるのですが、着陸時切り立った山の間を飛ばなくてはならず、「ネパールの一番のリスクは飛行機事故」とも言われるため、ネパールで調査をする多くの研究者は飛行機を避けます。また、ネパール人も避けるため、この飛行場を利用するのは基本的に外国人トレッカーです。


エリア唯一の病院、Mustang Hospitalです。ここより上に病院はありません。ここで研究の打ち合わせをするのが一つの目的です。


エリア唯一の救急車です。大丈夫か?



●5日目:ジョムソン~サマー(ジョムソンとロマンタンの真ん中くらい)まで

ここからは村々を寄りながらロマンタンを目指します。今思い出しても悪路の揺れと空気の薄さを思い出し、なんだか気持ち悪くなってきます。




「なんだ、車に乗って登ってんのかよ」と思われるかもしれません。確かに私もこの話が来たときは「やべぇ、歩いて登るなら鍛えておかなきゃ」と思い、富士山にまで登りました。しかし、現実的にはジョムソンからロマンタンまでは経験者で歩いて10日間かかります。

貧困国の一角「ネパール」は観光で外貨を稼いでいるため、このエリアの入山料は10日間で「US$500/一人」です。一日超過するごとに50$ずつ加算されていきます。
これはネパールの山の中でも高額で、エヴェレストのベースキャンプまでの入山料よりも高額だったはずです。

さらに、「ガイド代」は日が増すごとに費用も嵩むため、研究費等と現実的に考えると車をチャーターせざるを得なかった訳です。たぶん歩いて登るほうがお金がかかるでしょう。




村で休憩をとりながら登っていきます。が、その村すらだんだん見当たらなくなってきます。




自分はこの辺りの景色を目の当たりにしたときに、「ここは地球なのか?」と思いました。
また、写真をいくら高解像度で撮影しても、この雄大さは微塵も伝わらないと思っています。ぜひ現地で見てください。



サマー(Samar 3500m)村の今日の宿です。丁度ジョムソンとロマンタンの間くらいでしょうか。ロマンタンはネパールというよりもチベットです。この辺りはもうチベット仏教の文化がかなり色濃くなっています。

電気はありますが、夜はヘッドライトがないとトイレに行けません。また、ネズミがカサカサうるさいので寝るのに苦労しました。

道中は3800mを超える箇所もあり、中野先生はこの晩ダウンしています。


●6日目:サマー~ロマンタン

翌朝の村の景色です。


スウェタさんが宿のご主人に問診をしています。ご主人の顔を見ると分かりますが、この辺りはネパールといえどもインド系の顔ではなくアジア系の顔であることがわかります。また、ネパール語が怪しくなってきて、チベット語圏に入りつつあります。

また、年齢を聞いても、「たぶん70くらい」といった感じで返事が帰ってきます。
なるほど、こういう場所なのか…戸籍とかそういう感じではないのか。と、なんか納得した記憶があります。




このあたりの家に共通する配色と、窓の周りを黒く縁取る特徴が見受けられます。



そして今日も山登りが始まります。



車が登ってるの見えますか?道中にはいくつか車が乗り捨てられていました。たぶん壊れたんでしょうね。






こんな道が永遠と続いています。




村で道に迷って子供に聞いている様子。日焼けが激しい以外は日本の子供に似ていますね。





この辺りが今回の旅の標高MAX 4010m地点です。砂漠のようですね。空が濃く青いです。宇宙が近いからですかね。

今日の目的は、この村(ガミ Ghami 3500m)で昼食をとり、このエリアを仕切っている看護師さんたちと打ち合わせをすることです。



チベット仏教色が強くなってきます。


看護師さんたちとの打ち合わせ



自分も体調が悪くなってきました。個人的にはこの日が一番つらかった気がします。この薬は「ダイアモックス」です。高山病の初期症状を緩和します。
なんで効くかはリンク先の日本登山医学会のHPを参照してください。




この地方はリンゴの栽培で有名です。実はこのエリアの農業には近藤亨先生という日本人の絶大な貢献があったことは有名です。なので、日本人はこのエリアではなじみ深い民族なのです。


もう一登りしてロマンタンに到着です。とりあえず全員グッタリしているのでこの日はすぐに休みます。ネズミも相変わらずうるさいんですが、何より寒い… 3800m付近で日が落ちると氷点下まで気温が落ちてしまいます。




なんとか我々はロマンタンに到着しました。いや、「着くまでに何日かかってんだよ」と言われるんですが、これが秘境たる所以でしょう。
前後編にするつもりだったんですが、前・中・後編にします。




0 件のコメント:

コメントを投稿